内科・小児科
血管性紫斑病は、血管がもろくなったり、血管支持組織に病変がおきて、出血しやすくなり紫斑が現れます。この血管性紫斑病のうち治療が必要なのは、アナフィラクトイド紫斑病、遺伝性出血性毛細血管拡張症などです。
若い女性に発症が多い単純性紫斑病と老人に多い老人性紫斑病は、日常生活で身体をぶつけないように気を付ければ、特に治療の必要はありませんが、原因がその他の病気から来ている場合などは注意が必要です。
アナフィラクトイド紫斑病は食物や扁桃炎などによるアレルギーでおこる血管炎が原因とされています。別名アレルギー性紫斑病とも言われます。
下肢や臀部などのどこかに赤い発疹ができてから、徐々に紫斑に変わってきます。
大きさは点のような発疹から、百円玉のように大きいものまであります。
発熱・頭痛・全身倦怠感が現れたり、関節や腹部に痛みを伴うこともあります。
通常は一か月ほどで自然に治りますが、経過がすぐれない場合には、
副腎皮質ホルモン剤を使用して治療します。
腎不全などを合併した場合は人工透析が必要になります。
遺伝性出血性毛細血管拡張症は、皮膚や臓器など、全身にある小静脈や毛細血管が、些細なことで壊れて出血するものです。
遺伝的な原因で、毛細血管が構造的に薄くなっているために、血管が血圧に負けて拡張して、この状態が続くことでおこります。
血管拡張が起きた唇や結膜、耳は、赤あるいは紫色になります。
鼻や唇から出血しやすくなり、それに伴う貧血症状も現れます。
遺伝による体質的なもので、根本的な治療方法はありません。
また、ひどい出血には輸血を行い、貧血には鉄剤を使用します。
血液中の血小板が著しく減少すると、出血しやすくなり、皮膚や粘膜に紫色(まだら)状の内出血が現れます。これが「血小板減少性紫斑病」ですが、原因によって2つのタイプにわかれます。
はっきりした原因がわからずに、免疫疾患がおきて、血小板が破壊されるものが、特発性血小板減少性紫斑病です。白血病、再生不良性貧血、全身性エリテマトーデスなどの病気があって、血小板が減少するものが続発性血小板減少性紫斑病です。
よく見られるのは特発性血小板減少性紫斑病のほうで、この中には急性と慢性があります。
急性は主に子供、慢性は主に女性に多く起こります。
特発性のものも、続発性のものも、症状は同じで、出血による紫斑が現れ、
鼻や歯茎から出血しやすくなったり血尿がでたりします。
女性の場合は月経時に出血が多くなります。
進行すると、血小板が減少し、胃腸や頭蓋内などからの出血がおこり生命に関わります。
副腎皮質ホルモン剤などの薬物療法をしますが、改善されないなら、脾臓の摘出手術をします。それでも、良くならない場合は、免疫抑制剤を使用します。
血管内凝固症候群は、体の中の細い血管で血液凝固になって血栓が発生するものです。
血栓ができるのは、止血機能がある血小板や血液凝固因子が使われるためで、
止血機能に障害がおこり、臓器の機能不全を招いてしまうという深刻な病気です。
この状態になるきっかけは胎盤早期剥離、急性白血病やがんの転移などの悪性腫瘍や、敗血症などの重い感染症、ひどい外傷、巨大血管腫、大動脈瘤などのほか、外科手術などで起こる場合もあります。
軽いあざが出来るものから、皮膚や臓器など、全身から出血しやすくなるものまで様々です。
臓器の障害としては、腎臓、肺、消化器などです。
発症のきっかけとなる病気を治療しながら、血栓の発生を防ぐために薬物療法が行われます。
血液中には12種類の血液凝固因子が発見されています。
この因子は止血には欠かせない物質ですが、そのうちの因子が欠けているために、
出血しやすくなり、さらに止血しにくくなる病気です。
遺伝性の病気で男子に発症し、消化管や中枢神経から出血がおこると、生命にかかわります。
軽い怪我でも出血をすると、医師の治療を受けなければ止血できません。
幼児のうちから関節や筋肉内の深い部分で出血が現れるのが特徴で、
出血は皮下、口腔、頭蓋内にも及び、血尿が出たり、抜歯でも大量に出血します。
決め手となる治療方法はなく、欠けている因子の濃縮製剤を注射で補給します。
子供のころから関節での出血を繰り返していると障害が発生するので、リハビリテーションを行います。