胃や十二指腸の粘膜にただれや炎症がおこり、組織が欠損する病気です。
欠損が粘膜内であれば「びらん」とよび、粘膜より下にできるのは「潰瘍」といいます。
消化性潰瘍は胃液が胃そのものや十二指腸の粘膜を消化してしまいます。
消化性潰瘍には胃潰瘍と十二指腸潰瘍があり、どちらも潰瘍ができるのは同じですが、
その発生の仕方はやや違いがあります。
本来は食物だけを消化する胃液が胃や十二指腸の粘膜を消化するのは、
胃液の状態が強すぎるか、あるいは粘膜が弱っている場合と考えられています。
精神的や肉体的ストレスが引き金となって、自律神経やホルモンの働きに
変調をきたすのが原因とされています。
最近ではヘリコパクター・ピロリという細菌が、潰瘍の重要な原因の一つということがわかりました。
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、治療すれば完治しやすい病気ですが、再発するケースが少なくないのです。さらに、危険な合併症を招いて手術を要することもあります。
合併症には大出血、穿孔、狭窄の3つがあります。
胃の大きな血管が破たんすると、大量の吐血や下血が現れることがあります。
通常は内視鏡的に処置しますが、止血出来ない場合は手術が必要です。
深く進んだ潰瘍が外側の膜にまで達して、それを破ると、胃や十二指腸には穴が開き、
そこから食物や消化液が腹腔に漏れ出して、急性汎発性腹膜炎をおこします。
潰瘍が治癒しても、瘢痕と呼ばれる傷痕ができます。
瘢痕は潰瘍が再発するたびに大きくなりますが、これが幽門や十二指腸球部にできると、
その部分の内腔が狭くなり、食物がスムーズに流れなくなってしまいます。
内科・胃腸科・消化器内科・消化器外科
胃液が胃の粘膜を溶かし、粘膜より下の層に欠損が生じた状態です。
潰瘍は胃のどの部分にもできますが、胃角部や幽門部は比較的多い部分です。
高齢者では胃の上部に発生することもあり、薬剤やストレスが原因で、急性の潰瘍ができることもあります。
腹痛や出血(吐血と下血)、過酸症(胸やけ・げっぷ)が三大症状と言われています。
吐き気や嘔吐、食欲不振などもしばしばみられます。
安静にしてストレスを軽減し、食事療法と薬物療法を併用します。
薬物は制酸剤、粘膜保護剤などの抗潰瘍剤を使用します。
胃潰瘍そのものは放置しても治る場合もありますが、
原因を取り除かなければ再発を繰り返します。
ヘリコバクターが確認された場合には、プロトンポンプインヒビターと抗生物質を使って治療します。
胃液が十二指腸の内側の粘膜を消化することで、粘膜より下の層に欠損が生じた状態です。
十二指腸潰瘍の場合は特に胃の働きが活発で胃酸の分泌量が多い人によく起こります。
胃潰瘍は高齢者に多く発症しますが、十二指腸潰瘍は20〜30代の若い人におこります。
夜間や空腹時のみぞおちの痛みや、胸やけ、出血など、胃潰瘍と同じように三大症状があります。
嘔吐・吐き気・食欲不振などもよくみられます。
安静・食事療法のほかに、制酸剤などの薬物療法を行います。
ヘリコバクターが関与していると考えられる場合は抗生物質が用いられることもあります。