内科・消化器内科
薬物性肝障害は、身体に入った医薬品や化学物質が肝臓へ障害をおこすものです。
障害は、薬物が直接、肝臓を破壊する中毒性肝障害と、
薬物がアレルギー反応をおこして、免疫免疫が過剰になる薬物アレルギー性肝炎の2つに分かれます。
薬物性肝障害の原因となる薬物は抗生物質や解熱鎮痛消炎剤、化学療法薬、
向精神薬などの比率が高くなっています。中毒性肝障害は、薬物の量が一定以上になれば発症するのに対し、薬物アレルギー性肝炎の発症には個人差があります。
中毒性の肝障害の場合は、原因となる薬物を服用して、早い時期に症状がみられます。
アレルギー性肝炎では潜伏期間は一定しないのです。
発熱、発疹、吐き気、食欲不振、皮膚のかゆみ、黄疸などが現れてきます。
原因となる薬物がわかるようなら、その服用を止め、安静にして食事療法になります。
門脈から肝臓へ入った成分の代謝や解毒が行われ、中心静脈に集められ、
肝静脈、さらには下大静脈を経て心臓へ送られます。
ところが、心臓に障害があって、血液を全身に送りだせない場合は、
肝臓からの血液が心臓へ送れなくなって肝臓で滞るのがうっ血肝です。
うっ血肝が長くなると、肝臓が肥大して、肝細胞の壊死がおこり、肝機能が障害がおきます。
軽い黄疸が現れ、肝臓を押すと痛みが出現し、全身のむくみや腹水が現れることがあります。
心不全を示す症状としては、心肥大、頻脈、呼吸困難、チアノーゼなどを伴います。
心不全の治療をする必要があります。
ワイル病はスピロヘータの一種である黄疸出血性レプトスピラが感染する病気です。
ワイル病は感染したネズミや犬の尿に汚染された水から人に感染します。
黄疸、出血傾向、蛋白尿がでるのが特徴です。
1週間程度の潜伏期間を経て、高熱、吐き気、嘔吐、筋肉痛や結膜の充血が現れます。
黄疸が現れてくると、皮下や鼻からの出血もあります。進行すると心不全や腎不全がおきてきます。
早期の抗生物質の投与が有効で、進行した場合は、合併症に対しての治療が必要です。
ヘモクロマトーシスは、体内の鉄の量が増えて肝臓、すい臓、心臓、骨髄などの臓器に鉄が溜まって、様々な障害をおこしてしまうものです。
ヘモクロマトーシスの原因は、遺伝性の他に、小腸からの鉄の吸収が亢進するするもの、
肝臓疾患あるいは貧血によるものなどがあります。
また、輸血やワインなどの大量の飲酒によっておき、肝臓では肝硬変や肝線維症になります。
肝がんを合併することあります。
肝腫大、皮膚色素沈着、糖尿病などが主な症状となります。
うっ血心不全、不整脈や手足の関節症状も現れます。
鉄の代謝異常には血液の一部を抜き取る他、薬剤による鉄の排泄を試みます。
糖尿病、肝硬変や肝線維症に対しては、程度に応じた治療をします。
アミロイド肝は、でん粉のようなアミロイド物質が肝臓に沈着する病気です。
アミロイドは肝臓だけでなく、皮膚、舌、心臓、すい臓、脾臓、腎臓、肺などにも沈着します。
アミロイドが沈着する原因は、はっきりわかっていませんが、結核や慢性の可能性疾患や
多発性骨髄腫などに続いて起こることがあり、肝不全や心不全、腎不全などを併発することがあります。
アミロイドの沈着する臓器で違ってきますが、肝臓の場合は肝腫大、黄疸、腹水、吐き気、嘔吐などが現れてきます。下痢や血便の出る場合もあります。
原因となった病気があれば、その病気の治療をします。
免疫抑制剤などを使用しますが、決め手になるような薬剤はありません。