内科・消化器内科
経口感染で、A型急性ウィルスが入ってきて感染します。
ウィルスは胆汁に混じって、便と共に排泄されますが、
手についたウィルスなどが、水や食物に入って人に感染することになります。
日本では、環境衛生の不備で、かつては流行しました。
今でも、東南アジアなどには多い病気で、旅行などから帰国すると発症することも多く、
20〜30歳代の人に多い病気です。
感染して約一か月の潜伏期間があります。
発病すると、発熱、全身倦怠感、食欲不振などの、風邪に似た症状で、
数日後には黄疸がでてきます。
まれに、劇症化する場合や、腎不全を合併したりする場合がある他、
胆汁うっ滞性肝炎になって、完治まで長期化する場合もあります。
2か月以内には、完全に自然治癒することが多いので、
発症したら、とにかく安静が一番です。
黄疸が現れたら入院して安静にし、栄養バランスの良い食事をします。
また、薬物療法も行われます。
B型急性ウィルスが感染するものです。
ウィルスは血液に混じるので、輸血や注射、傷口から感染します。
また、唾液などでも感染するので、キスでも感染することもあります。
ただ、輸血で用いられる血液は検査が徹底してきたので、
輸血による感染は、ほとんど例がなくなりました。
また、感染しても発症しない場合もあります。
A型急性肝炎と同じように、発熱、全身倦怠感、さらに黄疸がでてきます。
熱はA型急性肝炎ほど高くはなりませんし、数か月で完治しますが、
劇症化する場合もあります。
感染しても、症状が現れない場合は、そのまま治ることもありますが、
ウィルスが体内にとどまって慢性に移行することもあります。
B型肝炎は急性肝炎の全体の、ほぼ3割になります。
ほとんどは、A型急性肝炎と同じ処置をします。
医療事故で感染する可能性があり、B型肝炎抗体が陰性のときは、
予防のために免疫製剤やワクチンを使用します。
C型急性ウィルスも血液を介して感染します。
B型急性ウィルスもC型急性ウィルスも、輸血の血液は検査が徹底してきたので、
輸血による感染は、めっきり減っています。
急性肝炎では、このC型が占める割合が多くなっています。
潜伏期間は1週間〜4か月ほどで、発熱や全身倦怠感などが現れますが、
症状そのものは、A型急性肝炎やB型急性肝炎と比べて軽い傾向があります。
発症も回復もA型、B型より緩やかです。
ただ、A型、B型と比べて、慢性になる可能性が高いので注意が必要です。
通院治療する場合は、家庭では安静にして、食事は糖質やたんぱく質を多くとり、
黄疸が出たりGOTやGPTが300以上になったら入院が必要になります。
薬物療法として慢性化を予防するためにインターフェロンを投与する場合もあります。
肝臓に慢性の炎症が持続するのが慢性肝炎ですが、急性肝炎が半年以上
続いているものは、慢性の肝炎とみなされます。
原因は、ほとんど、感染したウィルスに免疫反応が関わってくるものです。
慢性肝炎は、B型、C型、D型、E型の各ウィルスがあります。
初期には自覚症状がない場合が多く、黄疸などの特別な症状はありません。
あるとすれば、倦怠感や食欲不振程度です。
重症になると、黄疸、腹水、関節痛、発熱、発疹などがあります。
安静と食事療法が中心で、薬物療法もあります。
食事は質の良い動物性たんぱく質をとり、GOTやGPTが100以下になるまで安静にします。
薬物としては、ビタミン剤や総合消化酵素剤などが使用されます。
また、B型やC型にはインターフェロンが投与されることもあります。
B型肝炎ウィルスに感染し、症状が現れないでいる人を
B型肝炎ウィルスのキャリアと言います。
ほとんどが、2〜3歳までに、母親からB型感染ウィルスに感染したものですが、
このキャリアで徐々に症状があらわれてくるのが、B型慢性肝炎です。
10歳くらいから発症することが多い病気です。
ただ、逆に3歳以上で感染した場合は、ほとんどが急性の経緯をたどり、
慢性にいこうすることはありません。
急に悪化しない限り黄疸などは現れません。
ただ経過が長くなると、肝硬変へ移行して、時には癌になってしまうこともあります。
多くが数年で安定化しますが、炎症がひどかったり、長期化したり、肝硬変に移行する可能性があれば、インターフェロンなどの抗ウィルス剤、ステロイドホルモン剤を使用します。