血圧は1日の間で、運動や食事、血流量の増加、ストレスなどの感情の起伏などによって血管の収縮などで上下するものです。
何かの原因で血圧の調整の機能に障害が起これば、高血圧や低血圧という慢性的な症状を表します。
特に高血圧が続くと、違う病気を発症させたり、他の病気を合併させる原因となる場合もありますから、治療がひつようになります。
高血圧は測定値でいうと、最高血圧が160ミリ以上、最低血圧が95ミリ以上の場合を言います。
高い血圧は薬と日常生活における食事の注意で正常にすることができます。
この高血圧症には、原因を特定できない本態性高血圧症と、
体のどこかに原因となる病気がある二次性高血圧症があります。
内科・循環器内科
日本においては本態性高血圧症が高血圧症の9割を占めています。
原因はわかっていなく、様々な要素によって引き起こされると言われています。
例えば、日常生活で運動不足やストレスを受けやすい、塩分の取り過ぎ、
お酒の飲みすぎといった本人に原因がある場合もあります。
また、寒さなど本人がいる環境によって引き起こされる場合もあります。
最初は一時的に血圧上昇になるだけですが、これが習慣的になれば
高くなった血圧が下がらないような身体の機能が血管に働き、
慢性的な高血圧に移行していくのです。
高血圧の自覚症状はほとんどありません。
そのため、高血圧症だとわかるのは健康診断や、他の病気で血圧を測った場合に知ることになります。
高血圧症自体は大したことはないのですが、他の合併症を起こしやすくなるのです。
高血圧症は自覚がなくても、合併症が起きた場合は、その病気がはっきり表れます。
代表的なものは、脳卒中や狭心症、腎障害です。
高血圧を治療するだけでなく、合併症を起こさないようにすることが重要です。
治療は薬物による対症療法と食事制限や運動を中心とする日常生活での一般療法になります。
現在では薬に頼らない一般療法が主流となっています。
薬物は血圧を下降させるものを使いますが、日常生活を改善して食事療法を行っても血圧が下がらない場合や、既に合併症が進行している場合に用います。
薬物療法は血圧を下げる降圧剤という薬を使います。
高血圧の軽いものや合併症のない場合には、一般療法を数か月続け、それでも血圧が下がらない場合に降圧剤を使います。
合併症が既に出ているほど、重症の場合は、一般療法と降圧剤を同時に始めます。
降圧剤の種類は多いのですが、大まかにいうと利尿剤、カルシウム拮抗剤、交感神経抑制剤、血管拡張剤、アンジオテンシン変換酵素阻害剤などに分けられます。
30歳以下の高血圧症の場合の3割近くが二次高血圧症です。
本態性高血圧症と違って、高血圧症のもととなる病気があるものを言います。
それが、腎臓、血管、内分泌器官、中枢神経にまつわるものや
妊娠中毒、薬物中毒などの病気です。
なかでも多いのが、腎臓や血管の病気によるものです。
腎臓では糸球体腎炎や腎盂腎炎などが原因です。
血管では大動脈縮窄症のほかに大動脈炎症候群などがあります。
内分泌では褐色細胞腫のほかにクッシング症候群などで高血圧がみられます。
また、中枢神経では脳血管障害、脳腫瘍などの病気が原因となっています。
特に慢性糸球体腎炎は、二次高血圧症の原因の7割を占めると言われています。
高血圧の自覚症状はありませんが、高血圧症の元なる病気の症状があります。
例えば腎臓病の場合は、顔がむくんだり尿量が減ったりします。
血管の病気は、大動脈縮窄症からの症状が顕著に表れます。
顔や両手などの上半身の血圧が非常に高くなり、逆に下半身の血圧が下降するものです。
内分泌の病気からはホルモンの分泌が異常になって高血圧になります。
例えば、副腎の髄質に腫瘍ができる褐色細胞腫なら頭痛、動悸、発汗などの症状があります。
原因となっている病気を薬物手術で治療すれば高血圧も解消します。
本態性高血圧症と違って、手術可能な高血圧とも言われます。
早期発見と早期治療が肝心です。
病気 | 二次性高血圧の元になる病気 |
---|---|
腎性高血圧症 | 糸球体腎炎、腎盂腎炎、多発性膿疱腎、腎水腫、腎梗塞など |
腎血管性高血圧 | 腎動脈の教唆 |
内分泌性高血圧 | 原発性アルドステロン症、クッシング症候群、褐色細胞腫など |
心臓血管性高血圧 | 大静脈炎症候群、大動脈縮窄症など |
神経性高血圧 | 脳血管障害、脳腫瘍、脳炎など |