婦人科
成熟期に卵胞ホルモンの分泌が活発になると、子宮頸管の円柱上皮が膣側に伸びることがあり、円柱上皮の細胞は薄いので、下の組織が赤く見えることがあり、これを仮性びらんといいます。
これに対し、子宮膣部の上皮が剥がれて、粘膜下の組織が丸出しになっているものが真性びらんというのです。
炎症がおこりやすく、おこると多量の黄色いおりものや出血がみられますが、子宮癌ほどの出血ではありません。
炎症か癌かを見極めて、炎症であれば抗生物質での治療を行いますが、重い場合は冷凍法やレーザー光線による組織破壊、円錐形に切除する手術などがあります。
子宮頸管内は、粘膜で覆われ細菌の侵入を防いでいますが、何らかの原因で細菌が入り込んで炎症をおこすのが子宮頸管炎です。
原因となる細菌は、連鎖球菌、ブドウ球菌、大腸菌、あるいは性交によるクラミジアや淋菌などです。
頸管の内部が腫れて、急性期には膿を含んだおりものが、慢性期には白いおりものが増えます。
急性期に膣内の洗浄を行い、原因となる菌にあった抗生物質や消炎役で治療を行い、患部をレーザーで焼いたり、冷凍手術を行うこともあります。慢性化する前に医師に相談するべきです。
子宮頸管ポリープは子宮頸管粘膜が部分的に増殖して出来てきます。
ポリープで頸管粘膜が刺激されて、子宮頸管炎をおこすことがあり、しばしば下血もあります。
ポリープが良性か悪性かを調べ、子宮頸管炎を起こしているときは、その治療を行います。
子宮位置異常の子宮後屈は、先天性のものと、子宮内膜症などの病気による癒着が考えられます。
通常は腹部側に傾いている子宮が、後方に傾いているもので、下腹部痛や腰のだるさ、頻尿、排尿困難などをみます。
先天性か癒着によるものかを調べ、癒着の場合は、手術します。
癒着も苦痛もなければ治療を不要ですが、妊娠しにくい場合は医師に相談すべき事柄です。
子宮位置異常の子宮下垂・子宮脱は、体質的なもの、多産、産後の無理な労働、それらと体質と融合するために起きてきます。
子宮下垂は筋肉やじん帯が子宮を支えきれなくなり、子宮膣部が膣の入り口まで降りてくるもので、一方、子宮脱は子宮の一部あるいは全体が膣からはみ出した状態です。
軽い場合はペッサリーで治療しますが、重い場合は症状にあった手術を行います。
卵巣嚢腫の原因は、不明ですが、卵巣の表層が陥入し嚢腫ができるものです。
初めは無自覚ですが、嚢腫が大きくなるにつれて、下腹部痛や膨満感、頻尿、残尿感、便秘などがおこり、茎捻転という嚢腫の芽がねじれた状態では、下腹部に激痛がおきます。
良性か悪性かの鑑別を行ってから治療方針を決め、大半は摘出手術を行います。
子宮付属器炎は、子宮の両側にある卵巣・卵管を子宮付属器といいますが、その部分の炎症性疾患です。
大半は卵管炎が進行したもので、連鎖球菌、大腸菌、ブドウ球菌、淋菌、結核菌、クラミジアなどが原因となる菌です。多くの場合は、分娩、中絶、早産・流産時などに感染すると言われています。
下腹部痛と発熱、多量のおりもの、不正出血、腰痛などがあります。
下腹部を氷で冷やし、慢性期に入らない前に原因となる菌に合った抗生物質を投与し、その効果が認められない場合は患部を摘出します。
卵管炎は、連鎖球菌や大腸菌、ブドウ球菌、淋菌、結核菌、クラミジアなどが原因となる菌で、分娩、中絶、早産・流産時などに、卵管に感染すると言われております。
急性期の症状は発熱、悪寒、下腹部痛、吐き気、多量の膿状のおりもの、不正出血などをみます。慢性期になると、下腹部の鈍痛や腰痛などがあり、月経時に強まって、おりものの増量うあ不正出血もみられます。
下腹部を氷で冷やし、慢性期に入らない前に原因となる菌に合った抗生物質を投与し、その効果が認められない場合は患部を摘出します。完治しない場合は卵管が塞がって不妊症になったり子宮外妊娠が起きる場合もあります。