精神科
外因性精神障害には、頭部外傷、脳炎、老化によって、脳の神経細胞がおかされ、認知症や痙攣などをおこす器質性精神障害や、脳以外の身体の病気によって、二次的に意識障害や気分の変調などの精神症状をおこす症状性精神障害、さらにアルコールや種々の薬物による中毒性精神障害があります。
この中で、問題となるのが認知症と中毒です。
認知症とは、物忘れがひどくなり、記憶力が悪くなるものです。
通常は老化によって、起きる現象ですが、認知症になると、脳に何らかの障害が生じて、単に記憶力の低下だけでなく、日常生活や家庭生活に障害がおきるものをいいます。
認知症は脳に外傷がある場合もありますが、たいがいの原因は脳血管性認知症と老年性認知症です。脳血管性認知症は、脳の血管の動脈硬化などによって血行不全が生じておきるもので、老年性認知症は老化によって脳が萎縮することが原因です。
老年性認知症は、40歳代で現れる初老期認知症と、60歳以上で現れる老年認知症に分けられています。
アルツハイマー病は、脳が全体的に萎縮するために認知症になります。
70歳前後になって現れるのが、アルツハイマー型認知症あるいは老年認知症と呼ばれ、初老期に発病するのがアルツハイマー病です。
アルツハイマー病の症状は、じわじわと進行し、物忘れがひどくなり、人に何度も同じことを聞くことや、食事をしたことも忘れたり、一緒に暮らしている家族の顔もわからなくなる場合もあります。
散歩に出ても自分がどこにいるのかわからなくなって家に帰れなくなるような、場所的な見当がつかなくなる症状が特徴的です。
また、言葉や行動の面で日常生活がうまくいかなくなり、ひどくなると部屋の中で排尿したりしますし、だんだん、非活動的になって、ついには恍惚状態になったり、寝たきりになったりします。
根治的な治療方法はなく、脳の活動を改善するような薬物やデイサービスでの働きかけのような対症療法になります。
脳血管性認知症は、麻痺を残すような重い脳出血の後にも見られますが、短時間の一時的な失神や頭痛などをおこすだけの小さな出血や梗塞を繰り返すうち、認知症が明らかになってくることの方が多いのです。
認知症は脳血管障害がおきるたび、段階的に進行していきます。
障害は脳の一部だけにおきて、その他の部位は正常なため、記憶を障害されても、計算や方向感覚は問題なかったり、また、その逆だったりするため、ざるの目認知症、まだら認知症とよばれます。
感情が以前より激しくなり、涙もろくなったり、怒りっぽくなったりすることが多くなります。
脳の代謝や循環を改善する薬が使われますが、血圧のコントロールや食生活の指導や適度の運動も大切です。
精神神経科・神経内科
クロイツフェルト・ヤコブ病は、感染性たんぱく質が原因だと考えられるようになっていて、進行が極めて早く1〜2年で死に至ります。
記憶障害がおきて、認知症、人格変化、錯乱、運動障害、視力障害などが現れるようになります。ミオクローヌスという不随意運動が現れるようになり、身体が急にピクッと動くようになり、だんだん寝たきりになります。
有効な治療方法はありません。
ピック病は、遺伝との関係が指摘されており、脳の一部に萎縮が起きることで初老期に発症します。
まず、人格の変化が現れ、怒りっぽくなったり、無関心になったりします。
何を聞いても同じ答えを繰り返すこともあり、進行すると話さなくなり、次第に1日中何もせず茫然としている状態となります。
完治する治療方法はなく、薬物を使用する対症療法になります。