腎臓内科・泌尿器科・小児科・産婦人科
急性腎不全は色々な原因で急速に腎機能が低下するものです。
尿の排出量が減ることで、体内の老廃物が排出されなくなり、電解質のバランスが崩れて、
生命の維持に重大な障害がおきていきます。
発症率こそ低い病気ですが、乏尿性の症状がある場合は、死亡率が高くなります。
発症すれば数日で、重症になってしまうので、緊急に透析療法をしないと、
生命に危険を及ぼす場合もあります。
慢性腎不全と違って、治療によって半数は治ることがあります。
この急性腎不全には原因によって、次の3つに大きく分けられます。
熱射病や大出血、激しい下痢あるいは心不全、肝硬変などによって、腎臓への送られる血液が少なくなります。このことで、腎臓の機能が低下するものです。
重症な糸球体腎炎や薬物、造影剤、毒物などにより、
広範囲に尿細管が破壊されてしまった場合に、腎性急性腎不全が見られます。
原因となる薬剤としては抗生物質、非ステロイド系抗炎症剤(痛み止め)などが有名です。
パラコートの農薬でもおきます。
外傷や結石あるいは前立腺肥大、腫瘍などが原因で、尿管や膀胱などが圧迫されて閉塞し、
腎臓からの尿が通れなくなるためおこります。
乏尿、あるいは無尿になって、むくみがおき、最初は全身倦怠感や食欲不振などから始まります。
さらに進行すれば、高血圧、動悸、息切れ、呼吸困難、意識の低下、けいれん、血圧降下などの重い症状がおきてきます。
乏尿が回復してくると、今度は逆に多尿になり、皮膚が乾くなどの脱水症状がおきます。
保存的療法としは、たんぱく質や食塩を減らす食事療法や血圧管理を行い、
回復しない場合は、透析療法を行います。
慢性腎炎や糖尿病性腎症などの病気がもとでおきることが多いものです。
急性腎不全と比べると、数か月から数年あるいは数十年という長期間で
腎機能が低下するもので、回復することはありません。
機能が正常の2割以下くらいになると自覚症状が出ます。
老廃物の血中濃度が高くなり、初めは倦怠感や無力感、頭痛、吐き気、嘔吐が起きますが、
病状が進行してくると痙攣や昏睡に陥り、危険な状態になります。
症状の進行は、腎機能の低下の程度によって、自覚症状がない段階から、多尿や頻尿、
むくみがおきて乏尿から尿毒症がおくるまで様々です。
タンパク質や食塩を制限する食事療法をして、降圧剤や利尿剤などの薬剤を使用します。
しかし、病状が進行すれば、透析療法を行います。