精神科
子供は、生後半年から6歳くらいまで、もっとも母親の愛情を必要とします。
その時期に、母親の死亡や、愛情の欠落によって、愛情が与えられないと、性格的な障害が残ってしまいます。これを愛情遮断症もしくは愛情はく奪症候群と言われています。
愛情遮断症になると、感情が表に出ない子供になり、精神発達の遅れが出る場合もあります。癇癪(かんしゃく)を起こしたり、周囲にまったく関心を示さないこともあります。
治療には心理療法が中心となり、母親に代わり愛情を注ぐ人がいれば予防できます。
チック病は、体の一部を無意識に目的もなく動かすので、人目からすると、目立つ癖を持つ子供とか、落ち着きのない子供のように見えます。
チック病の身体の動かし方は、一定の時間に首を振る、瞬きをする、顔を歪める、鼻を鳴らす、手足が動く、突然声を上げる、咳払いをするなどの動作をし、発症するのは7歳前後が多いのです。
身体の特徴的な動作は、脳炎やマンガン中毒が原因となって起きることもあるのですが、ほとんどは心因性でおきます。両親の厳しいしつけなどで、子供の心が強く緊張すると起きる場合が多く、感受性がが強く、自己主張の強い子供に多くみられます。
チック病は、心が集中しているときはあまり発症することはなく、心に不安や緊張が広がっているときがほとんどです。また、意識すると、動作を止めることができますし、睡眠中は動作が現れないのが特徴です。
子供のころ、チック病にかかっていても、成長と共に治ることがありますが、脅迫神経症に移行してしまうことがありますから、様子をみて専門家の診察を受けましょう。
もし、子供がチック病になったら、家庭でのありかたや教育方針などを考え、必要以上に子供の心に緊張感を与えないように、リラックスさせるようにします。
自閉症は、発達障害の一つと考えられていて、子供が自分だけの世界に閉じこもり、他人はもちろん両親と意思の伝達や交流ができなくなるものです。自閉症の原因はよくわかっていませんが、脳の障害とも一説では言われています。だいたい、2歳半より前に発症しますが、1歳未満の幼児にもみられます。
自閉症は、耳も目も悪くないのに、母親があやしてもまったく反応しないなどの異常がみられ、幼児期になっても周囲の人と交わろうとせず、ずっと一人で遊ぶようになり、家族が呼び掛けても、ほとんど関心を示しません。
また、生活習慣では、変化を嫌い、おもちゃの置き場所や散歩のコースが同じコースでなければ、泣いたり怒ったりして抵抗します。ほかの子供と遊ぶことはせず、棒切れや紐などという子供が興味を示さないものをおもちゃとして長時間遊び続けます。
さらに、言語発達が遅れたり、言葉を発しないという障害も現れます。
相手が言った言葉をオウム返しに言うなど、言葉がわからないような症状がでます。
このほかにも、脳波の異常やてんかんの発作などが現れ、知能の遅れなどの障害がおきることがあります。
治療としては、集団の中では他の子供と触れ合わせることで、人間関係を作ることによって、行動や言語の改善を図ります。症状によっては、薬物で治療することもありますが、成長するにつれて、治ることもありますが、言葉や他人との接し方に障害が残るこtが多いのです。
統合失調症は、思春期以降の発症がほとんどですが、それより以前に発症するものが子供の統合失調症です。
子供の統合失調症の症状は、大人の症状とは違い、幻覚や妄想でも筋道がなく、まったくわけがわからないものになります。また、幻聴も幻覚も同じように現れます。子供の年齢が高くなるほど、症状に自閉状態が起きることが多く、学校にも行かず部屋に閉じこもってしまいます。
子供の統合失調症は、うつ病やほかの精神病と紛らわしく、診断の難しい病気です。
統合失調症という診断が出たら、抗精神病薬で治療します。
子供の躁うつ病は、大人の躁うつ病と症状が変わりません。
気分が高まるそう状態と、憂鬱な気分の状態が交互に現れ、また、躁うつ病の状態が気分に現れずに、ウロウロ動き回ったり、じっと座り込んでいたりと、行動の異常として現れることがあります。
躁うつ病は、思春期過ぎてから発病すると言われていましたが、子供の成長が早くなると、小学生でも躁うつ病が見られるようになりました。
子供の躁うつ病は変動期である病相期が比較的短くなっています。
10歳くらいでは数日から1週間、12歳以上では数週間ほどで、15歳過ぎると大人と同じくらいになります。
また、精神的症状より、頭痛、腹痛、食欲不振、不眠、発熱、嘔吐などの全身症状が目立ち、仮面うつ病な症状が現れることが多いのも特徴です。
治療としては、抗うつ剤の薬の使用と、精神療法の2つの柱となります。