感染症科
口から入ったコレラ菌が小腸で繁殖しておきる2類感染症です。
ほとんどの場合は海外での生活時に感染します。
毒性の弱いエルトール型コレラ菌なら、症状も軽くひどい下痢くらいです。
毒性の強いコレラ菌なら、数時間から1週間ほどの潜伏期間を経て、
突然、嘔吐を伴う激しい下痢がおきます。
さらに、米のとぎ汁のような水便が1日数十回も出て脱水症状が出ます。
呼吸が速くなり、脈拍は弱くなり、手足も冷たくなります。
脱水症状にはぶどう糖、食塩などが入った輸液を行い、コレラそのものには、
テトラサイクリンや、ニューキノロン剤などの抗生物質を投与します。
食べ物や水から入った赤痢菌が大腸で繁殖して、粘膜に潰瘍ができるものです。
2類感染症のひとつですが、東南アジアなどへの旅行による輸入感染が増えています。
5日以内の潜伏期間を経てから発症します。
食欲不振や高熱があり、下腹部の痛みや下痢などがおきます。
おかゆなどの食事療法や抗生物質を投与する薬物療法をします。
マラリア原虫がいるハマダラカに刺されると、マラリア原虫が体内に入り繁殖して、赤血球を破壊する病気です。
一か月以内の潜伏期間を経て、発熱、貧血、脾臓の腫れがおきます。
時に異常高熱、意識障害、けいれん、腎不全、脳炎、心不全などといった生命にかかわる合併症がおきることがあります。
早期に適切な治療をすれば治る病気です。
マラリア原虫に対してはキニーネ、クロロキンなどを服用します。
デング熱ウィルスを持つネッタイシマカに刺されると、体内でウィルスが繁殖して筋肉や関節を侵します。
1週間ほどの潜伏期間を経て、悪寒と高熱がでます。
また、筋肉や関節の痛みや発疹が現れ、リンパ節が腫れます。
これといった有効な治療法はありませんが、安静にして鎮痛剤を使用します。
南米やアフリカのネッタイシマカに刺されると、黄熱ウィルスに感染します。
1週間ほどの潜伏期間を経て、高熱・頭痛・嘔吐などがおき、
数日で症状が軽くなっても再発して、熱や黄疸や黒色の吐血がみられます。
重症になると、無尿や心不全の合併で死亡する場合もあります。
発病後の治療には対症療法しかないのですから、
黄熱ウィルスが流行しそうな地に行く前にワクチンを打っておくべきです。