高度経済成長を推進するために、昭和30年以降、日本の食生活は著しく改善され、欧米化が進みました。それによっておきた食生活の急激な変化は、負の面も多くもたらしました。
その一つが、食事は高カロリー化するのと逆に、運動不足になっておこる肥満です。
肥満は高血圧、糖尿病、心臓病などと合併することが多いことがわかっています。
また肥満まで行かなくても、動物性食品の摂りすぎによって、脂肪過多になったり、
インスタント食品の普及による塩分過多も問題です。
このように、肥満や脂肪・塩分過多といった食事をめぐる負の面が、長い時間の蓄積で成人病を誘発しているのです。
肥満を予防するためには、ゆっくり食べることが大切です。
ゆっくり食べるというのは、よく噛んで食べるということですが、
それで消化がよくなるだけでなく、食べ過ぎを防ぐことにもなるからです。
満腹だという感じは血糖値と大きな関係があり、食事をしていると、だんだん血糖値が上がり、血糖値が上がると、満腹感を覚えて、「もう食べらない」という気分になります。
しかし、早く食べると、血糖値が上昇するころには、かなりの量を食べていることになり、
逆にゆっくり食べると、食べ過ぎないうちに満腹感が出てきます。
一口で100回噛むのが理想とされていますが、30〜50回くらい噛むのが妥当でしょう。
1日30品目食べるのが理想的ですが、かつ、バランスよく食べるとことが大です。
栄養バランスとは、たんぱく質、カルシウム、鉄、ビタミン、糖質、脂肪など、人間の身体に必要なものをまんべんなくとることですが、そこまで考えてメニューを作ったりできせんから、一つの目安として、1日30品目なのです。
どの食品にどういう栄養素が入っているかまでわからなくても、30品目の中には栄養バランスに必要なものが多く入っているはずで、3食はしっかりしたものを食べることが大事になってきます。
欧米化で変わった日本の食生活は、動物性食品が急激に増えたことです。
動物性食品の摂取が増えるということは、そこに含まれる脂肪の摂取が増えるので、
そのことが、心臓病の増加につながっていることは否定できないのです。
そこで動物性脂肪を植物性脂肪に変えることが必要です。
植物性脂肪に含まれる不飽和脂肪酸は皮下脂肪の代謝を高め、コレステロールや中性脂肪の排泄作用があるので、肥満や動脈硬化の予防に役立ちます。例えば、家庭では紅花油やコーン油を使うとよいでしょう。
小魚などを食べなくなったことで、この頃は、子供のカルシウム不足が言われていますが、
カルシウム不足は子供だけでなく、大人も不足しているのが実情です。
65歳以上では、3人に1人が骨粗しょう症と言われており、これもカルシウム不足が原因で、
カルシウムが不足すると、心筋の収縮作用や神経の安定に影響を及ぼします。
小魚かけでなく、海藻や大豆製品なども摂るように心がけることが大切です。