最近では、肝炎ウィルス感染予防および治療の進歩によって、ウィルス肝炎が減る一方、食生活の欧米化で、アルコール摂取量も増えて、アルコール肝障害が増加しつつあります。
成人病の肝臓病は、長い間、大量の酒を飲み続けることによっておきるアルコール肝障害が考えられるのです。
肝臓の主な働きの一つに、栄養素を分解して貯蔵したり、有毒物を解毒することです。
特に飲んだアルコールの90%は無害になるまで、肝臓で分解処理されるので、飲めば飲んだだけ、肝臓は解毒して働き続けます。そのため、長い間の大量の飲酒を続けていると、肝臓を傷めることになり、アルコール肝障害を起こすことになるのです。
慢性のアルコール肝障害は、症状の軽いアルコール性脂肪肝、アルコール性肝線維症、アルコール性肝硬変と続きますが、急な大量飲酒によるアルコール性肝炎があります。
これら、アルコール性肝障害の主な原因は酒ですから、酒とうまく付き合うことが、そのまま予防になります。
時間によって、肝臓が処理できるアルコールの量は限度があります。
日本酒2合なら、アルコールを処理する時間は約12時間を必要だと言われているので、夜飲むと、翌朝には肝臓で処理され酔いは残っていないことになります。ビールなら大瓶2本までで、ウィスキーなら水割りのダブルで2杯程度です。
1日3合以上を5年間飲み続けると、アルコール性脂肪肝や、肝炎になることが多く、1日5合以上を10年間のみ続けると、アルコール性肝硬変になることが多くなります。
日本酒2合以下なら安全だと思っていても、やはり毎日飲むのは危険です。
アルコールは肝臓にとっては有害物質ですから、肝臓の負担は大きく、それが毎日となると、肝臓が疲弊してきます。
しかし、肝臓そのものは回復力が強く、脂肪肝になっても、2週間ほど酒を辞めれば治るほどです。
ですから、週2日は休肝日をもうけ、肝臓を休めるようにします。
肝臓はアルコールを分解して、アセトアルデヒドという毒性のある物質に変えます。
このアセトアルデヒドをさらに分解するために、肝臓にはアルコール脱水素酵素というたんぱく質からなる酵素があり、この酵素を使ってアセトアルデヒドの分解を早めるために、飲むときには酵素の原料であるタンパク質が必要になるのです。
そのため、ツマミにタンパク質を摂ることも必要です。
ツマミを食べずに、酒ばかり飲む人は肝臓障害を起こしやすいのですが、飲んでいるときにあまり食べない人は、翌朝に魚や大豆製品を多めにとる朝食をとってタンパク質を補給することが必要です。