整形外科・神経内科
五十肩と言われる肩関節周囲炎は、50歳代に多く発生しますが、
特に原因もないのに、老化と共に肩の関節が傷んだり、関節の動きが悪くなるものです。
肩関節そのものより、関節の周囲にある筋肉や腱、じん帯、関節包などの組織が炎症をおこすのです。
発症した初期は、一定の方向に肩関節を動かすと痛みを感じます。
痛みをかばって動かさないでいると、関節を動かせる範囲が狭くなり、
痛みも強くなります。たとえば、ポニーテールのように髪を結ったり、
後ろに手を組んだりすることが痛くてできなくなります。
さらに、夜間、安眠できずに朝は痛みで目が覚めることがあります。
このような症状になると、肩はあらゆる方向に動かなくなり痛みも強くなって、
着替えもままならなくなります。
治療の原則は温めて動かすことで、特に初期の可動範囲が広いうちに動かすことが大事で、
痛いからといって動かさないと症状は進行してしまいます。
痛みが強く、可動範囲が狭くなってしまった場合は、消炎鎮痛剤を服用しながら温熱療法と運動療法を行います。長ければ、回復までには2〜3数年かかるときもあります。
頸肩腕症候群は肩こりなどのように、様々な原因によって、
首、肩、腕に痛みが起こる症状の総称です。
痛みが起きる原因は、頸椎の椎間板の異常や、鎖骨周辺の神経血管の障害、
首や肩の筋肉疲労、精神的ストレス、内臓疾患などがあげられます。
このような疾患や障害を起こすのは、ディスクワークや打撲による怪我を負った人などが多いようです。特に首や肩に負担があるような、同じ姿勢を取り続ける仕事は、筋肉を疲労させるので起きやすくなるのです。
首や肩や腕の筋肉痛のほか、冷感、めまい、しびれ、肩こりなどがあります。
対症療法が中心で、疲労の蓄積からきますから、休息が必要です。
療法としては、薬物療法と理学療法になります。
頸椎の管の中には頚髄と後縦じん帯が通っていて、後縦じん帯が次第に硬くなって、
骨化・肥厚して、頚髄や神経根を圧迫して障害をおこすのが頸椎後縦靭帯骨化症です。
骨化の原因はわかっていませんが、40歳代〜60歳代の糖尿病に羅漢している人に多く発症します。
自覚症状のない場合もありますが、通常は腕や足に痛みやしびれ、脱力感が現れます。
指先の細かな作業も出来なくなり、歩行障害や排尿排便障害など重い症状になる場合があります。
軽症の場合は頸椎カラーで安静にし、消炎鎮痛剤や筋弛緩剤の使用や温熱療法なども行います。また、脊椎神経症状のある場合は、副腎皮質ホルモン剤を使用します。
症状によっては手術も必要になります。
心臓から腕に伸びている血管や、脊髄から腕に伸びる神経は、神経血管束となって、鎖骨、肋骨、中斜角筋、前斜角筋、鎖骨下筋によって、胸郭出口と呼ばれる部分を通っています。
胸郭出口症候群は狭い胸郭出口に神経血管の束が通るために、血管や神経に強い圧迫をかける症状が多くみられるといわれています。この病気は、理容師や美容師のように上肢をあげて仕事をする、撫で肩の人、がっちりした体型の人がかかりやすいと言われています。
腕のしびれや冷感、首や肩の痛みやしびれなどがおきますし、指先が青くなったり紫色になる場合もあります。
姿勢の矯正をしたり、肩の筋肉の強化が必要で、痛みには消炎鎮痛剤や局所麻酔を投与したり温熱療法をします。また、筋肉の緊張には筋弛緩剤を使い、症状が重い場合は、外科手術を施します。
斜頸は様々な原因で頭部が斜めに傾いてしまうもので、多くは先天的な筋性斜頸です。
これは、耳の後ろから首と頬骨と鎖骨に走る胸鎖乳突筋という筋肉の中にしこりができて、筋肉が引きつって首が傾いてくるのです。
筋肉斜頸は新生児の病気ですが、成人では他に骨の異常や、リンパ腺の腫れ、筋肉麻痺からくる斜頸があります。
先天性のものは生後、数日〜1週で首の鎖骨の上にしこりができて、頭がそちら側に傾くようになります。一か月ほどで小さくなり斜頸そのものは通常1年位で完治します。
筋性の場合は、胸鎖乳突筋を伸ばすように頸を向かせるようにしていれば自然に治ります。例えば、左側に起これば頭を右に傾け、左に回す矯正位をとります。1年を過ぎても斜頸が治らない場合は手術をし、筋性以外の斜頸は、原因となる病気を治療します。