内科・呼吸器内科・外科
肺真菌症はカビの一種である真菌が、肺に感染する病気です。
同じカビでも、過敏性肺炎では感染症状がないのに対し、肺真菌症では感染があります。
真菌は元々口腔や喉などにあるものですが、力が弱いため、健康な人が発病するケースは多くありません。原因となるカビの種類は、カンジタ、アスペルギルスなど約20種類あります。
カンジタ菌は、健康な人でも口腔内や咽頭などにあるものですが、抗がん剤やステロイド剤などで、重い病気の治療を受けている人が発病しやすい傾向があります。
クリプトコッカスは、排泄物などに汚染された粉塵を吸い込むことで感染しますが、ほとんどの場合は自然治癒します。
真菌球性アスペルギルス症、侵入性アスペルギルス症、アスペルギルス過敏症肺疾患があり、症状は様々あります。
重症の肺炎によく似た症状を持つ肺放線菌症で、口腔内などに生息している放線菌の感染が原因となります。
ノカルジアも放線菌の一つで、土中などに生育しており、これを吸入して発病します。
発熱、咳、痰、呼吸困難などの症状が主なものですが、真菌の種類によって症状が違ってきます。急性型の肺真菌症は、重症の病気と併発し悪化が早まり、呼吸困難やチアノーゼが現れ、髄膜炎さえ併発することもあります。
急性でなくても、悪化すると肺が線維化して硬くなり、呼吸困難をおこします。
細菌による肺炎と真菌による肺炎では使用する薬剤が異なり、元の病気の治療をしながら抗真菌剤を投与し、外科療法を行う場合もあります。
肺寄生虫症は、寄生虫が肺で繁殖し、他の臓器にも広がっていくことが多い病気で、病原体には、アメーバ、トキソプラズマ、ジストマ、ダニなどがあります。
肺アメーバ症は、大腸で赤痢を発症させたアメーバが原因で発病しますが、熱帯地方によくみられる病気です。症状としては、痰や発熱のほか、体重減少、肝臓の肥大などがあります。
潜伏期間が20年と長いので、アメーバ赤痢を患った後は、長期にわたる注意が必要になります。
トキソプラズマは猫などの家畜やネズミに寄生しており、感染経路は不明ですが、感染するとインフルエンザに似た症状が現れます。
ペットに口移しで物を与えたり、生肉を食べないことで予防できます。
肺寄生虫症の中では最も重い病気で、ザリガニなどから感染します。
感染後、肺に膿疱ができると、咳や痰、喀血などの症状が現れます。
ニューモシスチス・カリニ肺炎は、HIVの60%にかかる病気と言われており、慢性関節リウマチなど、免疫抑制剤を使っている人にも多く見られます。
病原体は健康な人の体内にいるニューモシスチス・カリニという原虫なのですが、免疫機能の低下が発症の条件となり、症状は咳や発熱、呼吸困難などです。
肺住血吸虫症は、最近はあまり見られなくなった病気で、ミヤイリガイに寄生する吸虫の幼虫が体内に侵入し、肺で増殖することによっておこります。
症状は、すぐ現れない場合が多く、咳、痰、微熱などがみられるようになります。
肺包虫症は、国内の一部の地域で見られる病気で、犬などに寄生している包虫が病原体で、肺に病巣が作られると、肺結核に似た病状や喀血がみられるようになります。
敗ダニ症は、肺に入り込んだダニが繁殖することによって発病し、繁殖すると、咳や痰などの症状が現れます。
多くは投薬治療で完治します。