内科・呼吸器内科・外科
左右の肺の間には、食道、気管、血管、リンパ腫、心臓が格納されていますが、ここが縦隔と言われる部分で、縦隔内に起こる炎症を縦隔炎といいます。
何らかの原因で食道が損傷した場合に生じるもので、食道がんや異物の誤飲、胃カメラや気管支鏡などを使っての治療が原因となる場合もあります。また、慢性の場合は結核などの感染症が原因となります。
急性の縦隔炎は、ショックや激しい胸痛、高熱、悪寒、痰、呼吸困難などが現れます。慢性の場合には無症状であることが多いのですが、胸部圧迫感や喘鳴が起きる場合があります。
急性のものは大量の抗生物質を投与し、開腹手術で膿を出しますが、慢性の場合は感染症そのものの治療をします。
縦隔気腫は縦隔の中に空気が漏れ出した状態で、原因によって次のように分類されます。
特発性縦隔気腫は、激しい咳の発作などで肺胞が破壊し、縦隔内に空気が溜まったもので、原因はわかっていません。
症候性縦隔気腫は、肺炎や結核などの呼吸器感染症の合併症として発症します。
外傷性縦隔気腫は、事故などによって肋骨を骨折したり、内視鏡検査などの医療を受けている際に気管や気管支を傷つけてしまった場合に発症します。
激しい咳や胸痛、発熱があります。小児に場合は呼吸困難が現れる場合があります。
気管などに損傷があるときには外科的な治療も必要になり、それ以外では特別な治療はしなくても、快方にむかうことが多いとされています。
縦隔腫瘍は、縦隔の部位に発生する腫瘍で、縦隔に発生する腫瘍には、胸腺腫瘍、神経腫瘍、リンパ節腫瘍、甲状腺腫瘍など、種類は豊富にあります。
小さな縦隔腫瘍は、レントゲンでもわからないこともありますが、最近では技術向上で発見される機会が増えています。縦隔腫瘍には悪性と良性があります。
良性の場合は、ほとんhど症状は現れません。
ただ、腫瘍が大きくなり、縦隔内の心臓などを圧迫し始めると、呼吸困難や動悸、胸痛、胸部圧迫の症状が出ることもあります。また、食欲不振や倦怠感、発熱がでることもあります。
腫瘍の種類によって治療法は異なりますが、良性の場合は、手術で摘出することにより、ほとんどは完治します。
悪性の場合は、早期であれば、摘出可能ですが、手術できないときには薬物療法や放射線の治療を行います。
横隔膜ヘルニアは、食道などの通る孔である横隔膜裂孔や、横隔膜の損傷した部分から、腹部の臓器が胸腔内や縦隔内にはみ出した状態をいいます。この横隔膜ヘルニアには外傷性と非外傷性に分けられます。
交通事故によって横隔膜が損傷を受けたり、破壊してしまったときにおきます。
妊娠や肥満を原因とする食道裂孔ヘルニア、子供に多い胸膜裂孔ヘルニア、子供や高齢者に見られる硬膜骨裂孔ヘルニアの3つがあります。
外傷性の場合、ショック、呼吸困難、嘔吐の症状が現れます。
非外傷性の場合には、ヘルニアの種類によって異なりますが、呼吸困難、吐き気、嘔吐が見られます。
食道裂孔ヘルニアは程度によって治療法が異なります。
新生児の横隔膜ヘルニアは緊急手術が必要で、外傷性ヘルニアも、多くは手術が必要になります。