内科・呼吸器内科・循環器科
呼吸の働きが阻害されて酸素と二酸化炭素のガス交換が障害を受けた状態で慢性と急性に分けられます。
慢性呼吸不全は、原因となる疾患として、肺結核、肺気腫、慢性気管支炎などがあり、その病気が進行して呼吸不全にいたります。呼吸不全をおこしやすいのは60歳代以上の人です。
運動時の息切れが特徴的で、息切れには軽度のものから重度のものから様々な段階があって、何年もかかって進行します。
家庭での継続的な酸素吸入療法である「在宅酸素療法」が治療の根本になります。
急性呼吸不全は、重度の肺炎、間質性肺炎、気管支喘息の発作、気道閉塞、怪我、ショック、敗血症、神経筋疾患など、様々な原因でおこります。
呼吸困難、チアノーゼ、意識混濁などが現れます。
急性呼吸不全になった場合には、生命の危険があるので、酸素吸入などの救命処置が優先されます。その後、呼吸不全をおこした病気に応じて治療が行われます。
成人型呼吸促拍症候群は、肺や全身の怪我、重症肺炎、敗血症、薬物中毒など、色々な原因で発病します。原因となる基礎疾患が重い場合に起こりやすく、続発性として発症する場合がほとんどです。
呼吸困難、多呼吸、喘鳴、チアノーゼが現れます。
原因となる疾患の治療を行い、必要に応じて酸素吸入、ステロイド剤、血管拡張剤、利尿剤の投与などが行われ、人工呼吸が必要となることも少なくありません。
睡眠時無呼吸症候群は、睡眠時に10秒以上呼吸のない状態に陥ることを睡眠時無呼吸といい、それが一晩に30回以上見られるものをいいます。
扁桃やアデノイドの肥大によって鼻づまりが起こり、息が吸えなくなることによっておこり、肥満した中年男性に多いと言われています。
無呼吸の他、大いびき、夜尿症、寝ぼけなど、様々な症状がでてきます。
合併症としては、多血症、睡眠中の不整脈を発症する場合があります。
成人の場合は、扁桃摘出などの外科治療を行います。また肥満がある場合は減量療法が必要となります。
肺血栓塞栓症は、肺動脈に塞栓物質が詰まって血行障害がおき、肺に血液が送られなくなったりする状態です。
塞栓する物質が血栓である場合には、肺血栓と呼ばれ、血栓以外では腫瘍細胞、脂肪組織、空気などが詰まる場合があります。逆に敗梗塞症は肺への血流が完全に停止して、肺の組織が壊死したもので、手術後や長期の寝たきり、悪性腫瘍の人に多くみられます。
心臓から送られた血液は、全身を巡って組織に酸素を与え、代わりに炭酸ガスを運んできます。その汚れた血液が肺動脈から肺に送られ、炭酸ガスと酸素を交換します。この肺動脈に血栓が詰まることから肺への血液輸送に障害がおきます。
血行障害をおこす血栓は、そのほとんどが下肢の静脈で出来たもので、それが肺まで運ばれてきます。
急に呼吸困難になり、胸に不快な感じがして咳が出ることがあり、さらに脈が速くなったり、不整脈や血痰、発熱、発汗、チアノーゼを伴うこともあります。
血栓を溶かすウロキナーゼなどの薬剤を内服しますが、肺血栓塞栓症は再発しやすい病気なので、血栓を溶かすだけでなく、新たに血栓ができないように、血液凝固防止剤であるヘパリンなどを合わせて使用します。また、再発防止のために外科治療を施す場合もあります。