急性腎炎と慢性腎炎・ネフローゼ症候群の治療を助ける食事療法

腎臓の食事療法

急性腎炎は腎の糸球体に抗原抗体反応による炎症がおこるもので、慢性腎炎は腎臓の糸球体に色々な病変が起こってきます。血液中のタンパクが不足したり、むくみが現れたものが、ネフローゼ症候群です。

急性腎炎の食事療法

急性腎炎は、急性上気道炎感染後に、腎の糸球体に抗原抗体反応による炎症がおこったものです。

 

余分な水分が体内に溜まって、まぶたや手足にむくみが現れたり、血圧が上がったり、尿にたんぱくがでます。腎臓病のなかでは比較的治りやすい病気です。

 

食事療法のポイント
たんぱく質も控える

急性期には、血中の窒素化合物が増加することが多いので、たんぱく質を制限します。
目安としては体重1Kgあたりに0.5グラムほどで、腎機能が正常になれば普通通りの量に戻します。

 

エネルギー摂取を十分にとる

エネルギーが不足すると体力が低下して、腎臓にも負担がかかります。

 

塩分と水分を控える

腎臓病に塩分はいけませんが、特にむくみや高血圧を伴うときは塩分を1日7グラム以下にします。また、むくみがあるときは水分を控えます。

 

慢性腎炎の食事療法

慢性腎炎は尿にたんぱくや血が混じるといった症状が1年以上続き、高血圧を伴うもので、腎臓の糸球体に色々な病変が起こってきます。

 

急性腎炎が慢性化する場合や、糖尿病による場合もありますが、大部分は原因不明で、食事療法の基本は急性腎炎と同じです。

 

食事療法のポイント
たんぱく質の摂取を制限する

腎機能の低下があれば、急性腎炎と同じようにたんぱく質を制限します。
腎機能が正常であれば、制限する必要はありません。

 

塩分を減らす

腎機能の低下があったり、むくみや高血圧があれば、塩分は1日7グラム以下に抑え、特に腎機能の低下がなくても塩分は控える必要があります。

 

ビタミン、カルシウムはたくさん摂る

ビタミンA、C、Eは、腎臓と血管の壁を強化し、ビタミンB群はたんぱく質の代謝を促進します。

ビタミンA

発育増進、視力増強、皮膚や粘膜を健康に保つ

レバー・緑黄色野菜うなぎ卵バター

【レバー・緑黄色野菜】【うなぎ】【卵】【バター】

ビタミンB1

糖質の代謝を助け、食欲、神経を維持する

豚肉・豆類・ピーナッツうなぎキノコ

【豚肉・豆類・ピーナッツ】【うなぎ】【キノコ】

ビタミンC

結合組織生成、アミノ酸の代謝を助け、病原菌の抵抗力をつける

柑橘類いも類緑黄色野菜

【柑橘類】【芋類】【緑黄色野菜・淡色野菜】

ビタミンE

脂肪の酸化を防いで老化を防止する

ナッツ類・大豆・胚芽植物油

【ナッツ類・大豆・胚芽】【植物油】

 

ネフローゼ症候群の食事療法

健康な状態でも多少はたんぱくは尿に入っていますが、糸球体に障害がある場合、たんぱく質は大量に尿へ溶け込んで、そのまま体外へ排出されることになります。

 

尿へのたんぱくの喪失が著しく多すぎる為、血液中のタンパクが不足したり、むくみが現れたものが、ネフローゼ症候群です。

 

食事療法のポイント
エネルギー摂取を十分にとる

エネルギー不足は、体力を低下させ腎臓を負担を与えます。
ネフローゼ症候群は2000キロカロリーを目安に摂取します。

 

たんぱく質を摂る

血液中のタンパク質が不足しているのですが、特に多く摂る必要はなく、通常通りに摂ります。

 

塩分と水分を控える

むくみや腹水が現れているときは、塩分を1日3〜5グラム、むくみや腹水が現れていないときは7グラム以下にします。水分も控えます。

スポンサーリンク