耳鼻咽喉科
鼻腔の奥には4つの副鼻腔と呼ばれる洞があり、その副鼻腔に出来る癌が、
上顎洞癌と言われるものです。
上顎洞癌は、骨に囲まれた粘膜に発生するもので、早期には症状が出にくく、
症状が現れたときには、かなり進行しています。
症状は、片方のひどい鼻づまりと、悪臭を伴った鼻汁と鼻血、頬や歯茎の腫れ、歯痛、頭痛、眼球圧迫などです。
腫瘍の広がりによっても違ってきますが、基本的には手術、放射能、化学療法の組み合わせで治療を行い、眼球や口腔の機能などを最大限維持します。
現在は、存命率が格段に向上します。
舌癌は、舌の脇の縁と、舌の裏側の上皮に出来る癌です。
口腔がんの中で一番多いもので、中高年に多く、発症率は、女性より男性の方が2倍多く、
かつ進行が早く、リンパ節に転移しやすい病気です。
合わない義歯や、とがった歯が、舌を傷つけるのも、1つの誘因とされています。
舌にブツブツと潰瘍ができてきて、痛みや出血があり、話しづらいとか、飲み込みにくいなどの症状があります。歯磨きのときに自分で気が付くことも多い病気です。
小さいうちなら放射線療法でも、よく治り、後遺症もありません。
しかし、大きくなったり、進行したものなら、切除してから再建する必要があり機能障害が残ります。
上咽頭がんは、鼻の奥の上咽頭部にできる癌で、中国や台湾に多い癌です。
日本ではあまり多くありませんが、頭蓋底へ進むと脳神経に障害をおこすこともあります。
上咽頭の症状そのものは出にくく、鼻づまり、血が混じった鼻汁のような鼻の症状の他、耳が詰まったり、耳鳴りがしたり、聞こえなくなる耳の症状、さらには視力障害や、眼球の運動障害など目の症状も現れます。
頸部リンパ節の腫れや片頭痛が起こることもあります。
手術療法で完全に切除するのは技術的に難しいことが多いのですが、放射線治療は有効で、抗がん剤による化学療法や免疫療法も行います。頸部リンパ節に転移している場合も手術で切除します。
下咽頭は、上部消化管の一部で、のどぼとけの後に位置しており、その下方は食道につながっています。この下咽頭の上皮にできるのが下咽頭がんで、アルコールなどで誘発される病気です。
中高年の男性に発生しやすい病気ですが、下の方の細くなった部分にできるものは女性にもよく発生します。
すっぱいものやアルコールなどの刺激物がのどにしみたり、飲み込みにくくなったり、飲み込むときに、チクリと痛みを感じます。進行すると、気管に誤飲が起きやすく、肺炎を合併する危険性もあります。
一部には放射線療法が有効な場合もありますが、ほとんどは手術が有効です。
喉頭は、のどぼとけあたりの部分で、声門、声門上部、声門下部の3つに分かれます。
喉頭ガンは、この咽頭に発生する上皮癌で、中でも声門には声帯があり、咽頭がんの7割が、
この声門に発生します。
男性の発症率は女性の10倍も多く、いつも大声を出す仕事の人などがかかりやすく、大気汚染などの環境が誘発すると考えられています。
声帯にできる癌は、小さいものでも、かすれ声になったり、声が出なくなったりします。
喉頭ガンが声帯より上に出来れば、声のかすれよりも、喉の違和感のほうが多く現れますし、声帯より下に出来れば、腫瘍の拡大で、咽頭の中が狭くなり、呼吸困難がおきてきます。
喉頭ガンが出来る場所にはよらず、ガンが進行してくれば、声がすれや呼吸困難などがおきてきます。
初期であれば、放射線療法でほとんど治りますが、進行した癌は手術療法で摘出し、咽頭全部でなく一部摘出で機能を保存する方法もあります。
扁桃癌は、頭頚部に発生する悪性の腫瘍の中では比較的多いもので、リンパ節に転移しやすいので、早期治療が大事な癌です。
急に扁桃が大きくなり、異物がある感じがし、潰瘍ができると、喉が痛かったり、飲み込みにくくなります。
放射線療法が有効で、腫瘍が小さければ、どんどん縮小し、転移していれば化学療法を併用します。