外科
食道がんは、喉の下から胃の入り口までの間の、どこかにできるものですが、食道がんになる8割は、胸部の食道に発生しています。
特に、高齢者に多い癌で、長年にわたってアルコールや辛い物を好んで食べる人に多く発病します。病気の進行は早く、周囲の臓器やリンパ節への転移もおこります。
食道がんの初期には、自覚症状がないことが多いのですが、自覚症状があったとしても、胸痛、食欲不振、胸やけなどです。進行すると、喉がつかえている感じがひどくなり、食べ物や飲み物が飲み込みにくくなります。
食道を切除する手術療法が有効ですが、進行の状態に応じては、放射線療法や化学療法などを組み合わせて行います。最近では、内視鏡治療が進歩しているため、早期がんでは障害が残ることは少なくなっています。
直腸がんは、大腸の内の直腸に出来る癌で、小腸に出来る癌は珍しいのですが、大腸にできる癌は最近になっては急増して、この10年で2倍の発病率です。日本人の食生活が欧米化したためと言われており、肉や脂肪を多く摂るようになったことが原因と言われています。
大腸も胃と同じように、組織がいくつかの層で成り立っており、ガンもいくつかの種類があります。大腸の組織は内側から外に向かって粘膜、粘膜筋板となり、一番外側の漿膜になっています。
癌が粘膜や、下にある粘膜下組織にある場合は早期がんで、それより外側にできると進行がんと言われ、進行がんは特に直腸とS状結腸によく見られます。
直腸がんの早期では、ほとんど症状はありませんが、進行すると便が黒色になったり出血があります。痔の出血と間違われやすいのですが、痔の出血は便の表面に血が付いているのが多いのに対し、大腸がんでは便に血が含まれていることが多いのです。
また、最初は下痢が続きますが、やがて、便秘と下痢を交互に繰り返したり、腸が腫瘍で狭くなると、便そのものが細くなったり、便秘したりします。さらに、貧血や体重減少、腹部膨満などがおきることもあります。
癌ができた部位や進行の程度で違ってきますが、早期であれば、内視鏡を使って切除できますが、粘膜下組織まで侵されている場合には、病変がある所の腸管を部分切除になります。進行している場合には、周囲の組織やほかの臓器に転移しているかで治療法が違ってきます。
基本的には、手術療法ですが、さらに化学療法や免疫療法、放射線療法などを組み合わせます。また、人工肛門を使用することもありますが、これは大腸がんの中でも、肛門から10cmほどのところに出来た進行がんの場合です。
大腸から盲腸から直腸までですが、この盲腸と直腸を除いた長い部分が結腸です。
結腸癌は、発生率がS状結腸が最も高く、盲腸へいくほど発生率は少なくなっています。
早期発見すると完治しやすい癌です。
結腸癌は、発生した部位や進行の程度で違ってきますが、身体の右側の結腸に発生した場合は、進行するまでほとんど症状が現れません。症状が現れる場合は、便秘と下痢が交互におきたり腹痛が現れます。また、食欲不振や倦怠感、体重減少がおき、出血がひどくなると便が黒くなります。
身体の左側の結腸に癌ができた場合には、数日単位で下痢と便秘を繰り返したり、黒い便や鮮やかな血が便に混じることが多くなります。また、下腹部の痛みや膨満感がおきますが、排便後には解消します。
早期の結腸癌は、内視鏡を使って切除することも可能ですが、一般的には手術療法です。
肛門癌は、肛門に発生する癌ですが、このガンは発生そのものは多くはありませんが、
発生すると、リンパ節への転移が早くなる病気です。
肛門に腫瘍ができ、角質化して硬くなっているものもあり、
痔ろう(いぼ痔)と間違えやすいのですが、出血や悪臭を伴う分泌物が続きます。
手術で直腸と肛門を摘出して、その代りに人工肛門を使用し、化学療法や放射線療法も行います。