産科・婦人科
卵巣癌は卵巣に発生する悪性腫瘍で、女性特有の癌では子宮癌に次いで多くみられる病気ですが、ホルモンを分泌する卵巣には良性や悪性などの、色々な腫瘍が発生します。
卵巣癌の発症は更年期前後が最も多いのですが、発症者は若い人から高齢者まで幅広いのです。
卵巣癌は、かなり進行しないと、自覚症状が現れず、早期発見の難しい病気で、現在のところ、女性の癌の中での死亡率は低いのですが、年々死亡者は確実に増えています。
初期には症状がないものの、かなり進行してくると、腫瘍も大きくなっているので、腹部が膨満したり吐き気などが現れ、この頃になると、腹部を抑えると腫瘍に触れることもあります。
手術療法が主体で、根治手術が不可能な場合には、化学療法や放射線療法などの集学的治療が行われます。
卵管ガンは、卵管に発生する癌ですが、女性の癌における発生率は極めて低いもので、出産経験のない人や不妊症の人が発症しやすいと考えられています。卵巣や子宮あるいはリンパ節に転移することもあります。
初期には自覚症状がなく、この癌に特有の症状もありませんが、進行すると、黄色いおりものが増えて閉経後でも、血が混じったおりものが現れ、下腹部がジワジワと痛むこともあります。
子宮および卵管、卵巣を摘出する手術をして、そのうえで化学療法などを行うこともあります。
膣ガンは、膣に発生する癌で、卵管ガンと同様に、女性の癌では発生率が低いのです。50歳代以上の妊娠や、出産回数の多い女性に発生し、進行が早く、子宮や外陰部への転移、あるいは血液を通ってほかの臓器への転移も早い病気です。
初期には自覚症状がありませんが、進行すると、血が混じったおりものがあり、さらに進むと、直腸や膀胱に不快感をともないます。
癌の出来る場所によって治療法が違ってきます。膣の奥の方に発生したものには手術と放射線療法を施し、手前側に発生した場合は、最初に放射線療法を行います。
外陰癌は、大陰唇、小陰唇、会陰、陰核などの外陰部に発生して、リンパ節に転移しやすい癌で、女性特有の癌の中では子宮癌や卵巣癌に次いで多く発症し、60歳代〜70歳代の人が発病しやすい病気です。
痒みや、しこり、できもの(潰瘍)ができたりしますし、排尿時に痛みに近い熱い感じがあり、進行すると潰瘍が広がって、しこりが大きくなりますし、おりものや月経以外の不正出血も認められます。
早期なら外陰部を切除して、症状次第では周囲のリンパ節も切除する手術を行います。進行したものなら放射線療法を行い、化学療法を併用することもあります。
絨毛ガンは、胎盤にある絨毛細胞が癌になるもので、かなりの早さで全身に転移します。特に肺や脳に転移しやすいため、それが原因で数か月ほどで生命に関わることもあります。
異常妊娠の一つであるブドウっ子と言われる胞状奇胎のあとでの発生が最も多く、40歳代以上の女性にもよく発生します。
胞状奇胎、流産、分娩などの後で、不正出血が認められます。また転移した部位によって、様々な症状が現れてきます。
化学療法で、かなり高い効果が期待できますが、化学療法が効かない場合などには手術療法を行い、転移部位によっては放射線療法が施されます。