内科・小児科
骨髄や脾臓などが血液を作る器官ですが、白血病は、未熟な白血球系細胞が無制限に増殖して、正常な白血球の増殖を阻害するもので、造血器の癌と言える病気ですが、ウィルスが誘因になるといわれています。
白血病では、肝臓、リンパ節、腎臓、脳など、全身の臓器に白血病細胞が増殖し、病気自体は少ないものの、発症すると、出血や細胞感染がおこり、生命の危険があります。
白血病は増殖する細胞の種類や進行状態で、急性と慢性に分かれるほか、異常を起こしている発生部位によって、骨髄性とリンパ性に分かれます。成人で急性白血病の8割と、慢性の白血病のほとんどが、骨髄性ですが、小児では急性のリンパ性が主になります。
治療は薬による化学療法が中心ですが、HLAタイプが同じ人の造血幹細胞を輸注する造血幹細胞移植がどんどん取り入れられてきています。
白血病細胞が異常に増殖して正常な造血細胞が減少するために、貧血が起こる他、動悸、息切れ、発熱、寝汗などが現れます。また、歯肉や鼻、眼底などから出血しやすくなり、リンパ節や肝臓、脾臓に腫瘍が現れます。
数種の抗白血病薬を使用する薬物療法を行いますが、
最近では造血幹細胞移植もよく行われます。
慢性骨髄性白血病は、発症しても5年以上は症状が現れませんが、症状が出てくると、全身に倦怠感があり、疲れやすく、体重減少、寝汗、上腹部の不快感などが現れ、脾臓の腫れもよくおこります。
末期になると、急性転化と言って、急性白血病と同じ症状になります。
化学療法を中心として、ブスルファンやハイドロキシウレアという薬剤を行い、末期になると、急性白血病と同じような治療を施します。
最も確実な方法は、造血幹細胞移植で、急性転化が起これば、急性白血病と同じように治療しますし、最近では分子標的療法としてイマチニブが登場し劇的な効果が得られています。
白血病の治療は長期にわたるもので、良くなったと判断されても再発することが多く、この難病と闘うには家族の協力が欠かせません。
慢性リンパ性白血病は、リンパ節や脾臓に腫れがおこり、進行すると、貧血、血小板減少などを合併するようになります。また、免疫不全をすると、感染症や自己免疫疾患にかかりやすくなり、末期には免疫不全の症状が増強されます。
数年から数十年かけて、ゆっくり進行する病気なので、初期にはあまり治療の必要がありません。エンドキサン、クロラムブシルなどの抗がん剤による化学療法を行いますが、この病気は合併する免疫不全の治療が重要になります。
骨髄の中には白血球の一種である形質細胞があって免疫の抗体を作り出しています。多発性骨髄腫は、形質細胞が、がん化し、骨髄腫細胞になり無制限に増殖し、正常な抗体を減少させて感染しやすくなり、骨髄で作る血液も減少します。
また、骨髄腫細胞には、骨を溶かす作用があるため、骨折しやすくなります。
病気そのものは多くありませんが、40歳以上から発症が目立ちます。
肋骨、背骨、腰骨が痛くなり、動悸や息切れなどの貧血症状や、体重減少、疲労、歯肉や鼻からの出血、喉の渇きなどがおこり、腎臓の働きも低下します。
痛みには鎮痛剤を使用しますが、癌には抗菌剤を使用した化学療法を行います。
リンパ組織は、身体に入る異物を排除する働きをしますが、リンパ組織を構成しているリンパ節、脾臓、扁桃などの細胞が悪性になって、無制限に増殖するものが悪性リンパ腫で、白血病と並ぶ代表的な血液の癌です。
原因は明確ではありませんが、リンパ球糸細胞の増殖をおこすもので、リンパ性白血病とよく似ていて、白血病は細胞増殖が主に骨髄で起こるのに対し、リンパ腫の場合はリンパ節でおこり、増殖したところに腫瘍のコブができます。
悪性リンパ腫は死亡率が高くないのですが、発病することにより免疫力が低下するので、各種の感染症にかかりやすくなるため、死亡率が高いという理由になります。
顎の下や、わきの下、下肢の付け根のリンパ節が腫れてコブのようになります。
単なるリンパ節炎の場合は痛みがありますが、悪性リンパ腫では押しても痛みがありませんし、癌の出来るリンパ節の部位によって、喉や目などに色々な症状が現れます。
進行すると、数か所のリンパ節が腫れて高熱が出たり、寝汗、体重減少が現れ、身体の表面に近いリンパ腫が腫れるだけでなく、中の方までリンパ腫がはれたり、扁桃や脾臓が腫れてくることがあります。
腫瘍が、発生したところから動かず転移などしていない場合には、放射線療法を中心に行い、病型によっては抗体療法も有効です。
病気が全身に広がっている場合は、抗腫瘍剤を組み合わせて使用する化学療法を中心に行い、胃や腸に発生した場合は手術で切除します。