外科・産科・婦人科
乳ガンは乳首に乳汁を送る乳腺組織に発生する癌ですが、治療効果は悪くないものの、毎年、発症者が増えています。
乳癌が発生する部位は、乳首より外側上の脇のあたりが最も多く、わきの下のリンパ節に転移しやすく、そこから脊椎や骨盤などの骨や肺、脳へ転移することもあります。
食生活の変化からか、昔は欧米と比べると少ない癌でしたが、現在では日本でもよく見られるようになり、発症率は、主に30歳〜40歳代に多く、出産経験のない人が発病すると言われています。
乳ガンはしこりが出来ることで発見されるケースがほとんどで、しこりは痛むことが少ないので、大きなしこりになってから気が付くこともあり、小まめな検診と、しこりがわかったら、早めに医師の確認が必要です。
しこり以外の症状では、乳房の変化があり、乳頭や乳輪がただれたり、カサブタができたり、分泌物がでたり、乳頭が癌のある場所の方向に向いたりします。しこりをつまむと、その真上にえくぼのようにへこみが見られ、良性の腫瘍の場合は「へこみ」は出来ません。
進行して、癌が広がってくると、乳房の表面が赤く腫れて、さらにリンパ節に転移すると、リンパ節が腫れてきます。
乳房、大胸筋、小胸筋とリンパ節を摘出する手術が基本ですが、今は胸の変形や運動機能低下を防ぐために、大小胸筋を残す方式が大部分です。
早期ではあれば、乳房を温存して腫瘍だけを切除する縮小手術が行われ、化学療法や放射線療法、免疫療法なども併用されます。
子宮癌は女性特有の典型的な癌で、子宮は頸部と、その奥の体部の2つに大別され、子宮癌にも子宮頸部と子宮体癌とがありますが、ほとんどは子宮頸がんが多いのです。
どちらも骨盤などへ広がっていき、リンパ節から全身へと転移したり、近くの臓器へと病気が広がっていくので怖い病気です。早期発見のためにも、30歳を過ぎたら少なくとも年1回か2回は検診を受けるべきです。
子宮頸ガンは、子宮頸部に出来る癌で、原因は未解明ですが、ただ、性体験が早かったり、妊娠・出産が頻繁な人が、かかりやすいと考えられており、逆に性体験がない女性には少ない病気です。特に40歳代〜60歳代までの女性が発症しやすい病気です。
初期には自覚症状がありませんが、次第に月経が不順になったり、出血があったり、様々なおりものが現れてきます。さらに進行すると、たびたび出血するようになり、下腹部の痛みや発熱、やがては排尿困難、排便困難がおき、全身に転移すると、貧血や食欲不振、体重減少などが現れます。
進行の程度によって違いがあり、初期のものには子宮、さらにはリンパ節を摘出する手術を行うのが一般的で、初期なら子宮を摘出しないで済むレーザー治療を施すことも多くなっています。
他に重大な病気が無理な場合は、放射線療法を行い、進行している場合には、放射線療法や化学療法、免疫療法、温熱療法などを組み合わせて行います。
子宮体癌は、子宮癌に占める割合が徐々に増えており、50歳〜60歳代の閉経後の女性に多く発症します。原因は未解明ですが、かかりやすいのは、出産経験のない人や不妊症の人だとされており、肥満や糖尿病、高血圧の人もかかりやすいと考えられています。
閉経後であっても、初期のうちから、出血やおりものが現れ、おりものは進行するにつれて、血や膿が混じるようになります。やがて、痛みや貧血などが現れ、子宮内に血液や膿などが溜まってくると、激しい下腹部痛と共にそれらが排出されます。
進行は子宮頸がんよりも緩やかですが、全身に転移すると、貧血、食欲不振、体重減少などがおこります。
子宮とリンパ節を摘出する手術が中心で、ほかに重大な病気があって手術ができない場合などは、放射線療法や化学療法、ホルモン療法などを行います。