内分泌代謝科・内科・甲状腺専門外科・外科
甲状腺から分泌される甲状腺ホルモンは、全身の基礎代謝や新陳代謝を促したり、たんぱく質の合成促進などの作用をします。
この甲状腺ホルモンは一定の濃度に調節されていますが、何かの原因で分泌が過剰になると、血中の甲状腺ホルモン濃度が高くなりすぎて、甲状腺機能亢進症になります。
甲状腺機能亢進症の原因で最も多いのがバセドウ病ですが、他には亜急性甲状腺炎や無痛性甲状腺炎なども原因となります。
外から侵入した物質に対して反応が起きるのが免疫ですが、体内に最初からある物質を、
侵入物質と誤って認識して抗体を作る場合を自己免疫といい、バセドウ病は自己免疫が原因でおきます。
自己免疫がおきると、血液中に抗体といわれる甲状腺刺激物質が増えて、
甲状腺の働きが活発になり過ぎて、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されてしまうのです。
バセドウ病は20歳代〜30歳代の女性に多い病気ですが、実は男性にも少なくありません。
甲状腺が腫れ、動悸、脈拍数が増え、眼球が前に突出して、二重に物が見えたりします。
新陳代謝が活発になり過ぎて、エネルギーを消費するのが特徴で、食欲があり、よく食べるのに体重が減ってきます。また、発熱や発汗、疲労感や脱力感、神経過敏、不眠、月経異常、下痢、喉の渇きなどが現れます。
じっとしていても、運動しているような疲れも感じ、不整脈が起こる場合もあります。
根本的な治療というのはなく、抗甲状腺剤を使用したり、放射線ヨードの内服、
甲状腺ホルモンの生成と分泌を抑える治療を行います。
また、甲状腺を一部、切除する場合もあります。
甲状腺の働きが悪くなって、甲状腺ホルモンが不足してきます。
原因は、一部に下垂体の障害で甲状腺刺激ホルモン分泌が減少するためにおこるものもありますが、最も多いのが、甲状腺に異常があって、機能が低下する原発性甲状腺機能低下症で、ほとんどが慢性甲状腺炎です。
慢性甲状腺炎は甲状腺に自己免疫疾患がおこるもので、血液中に自己抗体が生まれることで、甲状腺組織に障害がおきます。障害がおきると、甲状腺の細胞が破壊され、甲状腺の機能が低下してしまうのです。
中年の女性に多い病気で、甲状腺が腫れてしまいます。初期には新陳代謝が低下して、声がかすれたり、首の前に違和感を感じたり、倦怠感を感じたりします。
病状が進んで甲状腺の機能が明らかに低下してくると、汗が出にくくなって、無気力や便秘になったり、軽い言語障害さえも出てきます。
まぶたや額や唇にむくみが出ると、顔が腫れたように見え、頭髪の艶がなくなり、皮膚は乾燥してきて、女性の場合は貧血や月経過多になったりします。重症の場合には、心不全、体温低下、意識障害や昏睡に陥ることもあります。
甲状腺が腫れても機能に異常がなければ、とくに治療の必要はありません。
定期的に検査を受けて、機能が低下してきた場合には、甲状腺ホルモン剤を服用します。