神経内科・脳神経外科
認知症は、人の知能が正常に発達してから、脳の働きが障害されて知能が低下するものです。認知症には症状の違いで、アルツハイマー型認知症と脳血管性認知症にわかれます。
アルツハイマー型認知症は、初老期か高齢者におきるもので、脳の神経細胞が病的に老化したり、だんだん萎縮したりしていくものですが原因は不明です。
発症すれば、数年で徐々に進行します。
急に悪化したり、よくなったりはしませんが、それまでは、年なりに低下していた記憶力が、かなり低下してしまい、物忘れがひどくなり、また、日時や自分のいる場所がわからなくなったり、食事をしたすぐあとに、食べたことを忘れてしまうことがあります。
さらに、認知症に関連して精神症状が現れ、それが興奮、不安、妄想、不眠、あるいは暴力や俳諧、窃盗など社会的に問題があるのです。症状が進行すると、
病状を回復させるような治療法はありません。
症状の進行を遅らせるために脳代謝改善剤や脳循環改善剤あるいは栄養剤を使用します。
脳血管性認知症は、脳の血管が動脈硬化を起こし、脳梗塞や脳血栓、脳出血などの脳血管障害を生じることでなるものです。
1日の脳卒中でおこるより、数度の脳梗塞の後に起きることが多いものです。
認知症の症状は、アルツハイマー型認知症と同じようなものですが、ちょっとのことで、泣き笑いする感情がない場合がありますし、歩行障害や言語障害などの神経症状を伴うことが多いのです。
脳梗塞や脳出血によって、急に認知症となるものと、だんだん認知症になるものがあります。またアルツハイマー型認知症と違うのは、ある時、急に悪化したり、急に良くなったりします。
症状の進行を抑えるために、脳循環改善剤や血管拡張剤を使用します。
また、様々な精神症状には抗うつ剤などを用いた対症療法を行い、高血圧や糖尿病などの脳血管障害を起こしやすい病気があれば治療します。
脳やせき髄を保護するために、その周りには脳脊髄液が循環しており、
脳脊髄液には脳の中の脳室から分泌されて、くも膜に流れ込みます。
何らかの原因で、この脳髄膜液の吸収障害や流動障害がおきて、頭蓋に多量に溜まるのが水頭症です。
一部の事例を除いて、頭蓋内の圧力が高くなり、脳の動きに影響がでますし、
先天性の水頭症と、後天性のものに分かれます。
先天性水頭症は、主として脳髄膜液の流れが障害され、その原因は脳の先天性形成異常がほとんどです。
新生児にみられるもので、頭蓋骨が広がって、頭が極端に大きくなり、
また、乳幼児はまぶたが上へあがって、黒目が下まぶたにかかって見えます。
症状が進むと、知能や運動の遅れが現れ、放置すると半分は死亡します。
頭蓋の中の脳脊髄液を腹部や心房に流す手術をします。
後天性水頭症は、若年者水頭症と、正常圧水頭症の2つがあります。
若年者水頭症は、炎症や腫瘍などによる脳髄膜液の通路である中脳水道の閉塞の場合が多く、原因は分娩時の外傷や出血、髄膜炎です。
正常圧水頭症は、くも膜下出血に続いて起きる場合が多いのです。
若年者水頭症は乳幼児に多く、頭囲が大きくなって頭痛や嘔吐、視力障害があります。
正常圧水頭症は50歳代が多く、頭囲は変わりませんが、認知症や歩行障害などの症状が現れます。
症状によって、適用する手術をします。